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古下着は生活に通常必要な動産か?
(2015/02/25)

 自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、什器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得は非課税である(所法9(1)九)。すなわち、「生活に通常必要な動産」の譲渡による所得は非課税とされているのである。さて、「生活に通常必要な動産」とはいかなるものをいうのであろうか。ガレージセールで販売している中古衣料品などはこれに含まれると解されるが、例外もあろう。

 インターネットを利用して、愛好者等の興味を喚起するような扇情的な表現等を用いて請求人が使用したとする下着、靴及び靴下等を1年間に計67回にわたって請求人が販売していた事例において、国税不服審判所平成23年6月17日裁決(裁決事例集83号678頁)は、その販売の回数、方法、態様等にかんがみると、請求人の下着等の販売は、生活用品としての下着等の時価相当額による売買の域を超えて、女性が着用等した下着等という商品を新たに創出してこれを時価相当額を上回る付加価値付きの価額で愛好者に販売する行為ということができるから、生活用動産の譲渡による所得を非課税とした趣旨にかんがみても、当該下着等の譲渡による所得は、所得税法上の生活に通常必要な動産の譲渡による所得に当たらない旨裁決している。

(出所:酒井克彦・税のしるべ3049号4頁)