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行政の透明性
(2014/11/25)

 行政の透明性が重要であることは改めて指摘するまでもない。

 例えば、中央省庁等改革基本法4条7号は、「行政運営の透明性の向上を図るとともに、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるものとすること。」と規定している。

 この透明性は誰に向けられてのものであろうか。およそ国民向けの透明性が前提とされているように読める。

 昭和58年の日米財界人会議の報告書「行動指針(Agenda for Action)」は、「米国には、行政指導が、日本市場で競争している米国企業や米国製品に対して日本企業や日本製品を優遇するよう行使されているのではないかとの相当の猜疑心がみられる。行政指導がその性格上、競争制限的で、反輸入的である。これらの意見は、ある程度、行政指導の利用に透明性が欠けていることからくるものであろう。」とかなり厳しい。

 思えば、平成16年に実施された文書回答手続の見直しには、アドバンス・ルーリングの日本への導入を求める諸外国側の要求が強かったのである(酒井克彦「事前照会に対する文書回答手続のあり方」税大論叢44号463頁以下)。

 そこでも、同様の強い主張があったが、透明性の意味内容については開かれた日本の行政という見地からの充実した議論が必要であることは多言を要しない。

(出所:酒井克彦・税のしるべ3042号4頁)