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柤税法はプロのための法律か?
(2014/10/24)

 民法学の内田貴教授は、「法律の中には、たとえば税法…のように、何より厳密さを第一にしなければならない法律があります。そこでは、ただ一つの解釈が紛れなく導けるように書かなければなりません。その代わり、読み手としてプロしか想定していませんので、その法律で定義された特別な用語を連発しながら、長い条文が、カッコ書きを頻繁に挿入しつつ続きます。…しかし、このような法律をもっとわかりやすく書けという声は聞きません。法律の目的が、国民一般にとってのわかりやすさより、プロにとっての厳密さにあることを誰もが了解しているからです。」と記述される(内田『民法改正』115頁(筑摩書房2011))。

 これに対して、三木義一教授は、「この先生は租税法律主義も知らないらしい。」と述べられる(三木「法人税だって法律である!」書籍の窓614号13頁)。

 申告納税制度は、納税者が自らの課税標準等や税額等を計算して、それを自らの責任において申告するところから出発する。

 この民主的な制度が本当に民主的な意味を持つというならば、納税者が自ら租税法規に従って申告をすることになるのであるから、当然ながら、租税法は一般の納脱者のための法律以外の何物でもないはずである。

(出所:酒井克彦・税のしるべ3041号4頁)