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本文の要件事実とただし書の要件事実
(2014/09/25)

 要件事実論において通説・実務が採用する法律要件分類説に従えば、要件事実は、その法律効果を主張する者が証明責任を負うこととされている。

 例えば、即時取得を主張する者は、権利根拠規定の要件事実についての証明責任を負うという具合にである(民192)。

 そこで、適用しようとする条文が、権利根拠規定なのか、権利障害規定なのか、権利消滅規定なのか、権利阻止規定なのかを明らかにする必要があるのである。

 では、本文とただし書とからなる条文の場合には、いかに考えるべきであろうか。この場合、ただし書が本文の適用を除外する旨規定しているときは、ただし書に掲げられた事実については、本文の適用を免れようとする者に証明責任があると解されている。

 消費税法30条7項は、そのことを法文上に明らかに示した規定であるといえよう。すなわち、同条は、仕入税額控除の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ等の税額については、適用しないとした上で、ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかったことを当該事業者において証明した場合は、この限りでないと規定するのである。

(出所:酒井克彦・税のしるべ3038号4頁)