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当分の間
(2013/09/25)

 昭和32年に制定された租税特別措置法の第1条は、「この法律は、当分の間…特例を設けることについて規定する」としているが、「当分の間」とは、どの程度の期間をいうのであろうか。言葉の意味からすれば、当座の短い期間を含意しているように思える。

 最高裁昭和24年4月6日大法廷判決(刑集3巻4号456頁)は、「刑法施行法は…当分のうちその効力を有する」と規定しているのであるから、この規定の内容は早晩改正されることが予想されたものと言わなければならない。

 そして、その内容は…今日においては他の法律の規定と権衡を失し時代に添わない感のあることも事実である。

 しかしながら、この規定は賄賂を伴う公選の投票に関する一般的処罰規定を欠いたこれまでの経過において、実際上必要な規定として適用されてその効力を持続して来たのであるから、前記刑法施行法に『当分ノ内』の字句があるとしても、他の法律によって廃止されないかぎり法規としての効力を失ったものと言うことはできない」と判示している。

 この事例では40〜50年経過しても「当分ノ内」という規定の効力は失われないとしているのである。

 「当分の間」についても、必ずしも短い期間とはいえないのかもしれない。

(出所:酒井克彦・税のしるべ2971号4頁)