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「税」と「tax」の語源
(2013/08/19)

 「税」の字は「禾(米:農作物)+兌(剥ぎ取る:抜き取る)」から来たといわれている。

 したがって、そこには、米などの農作物を抜き取るという意味がある。

 律令制の頃には、現在の税務署に当たる「主税寮(ちからのつかさ)」と呼ばれる役所があった。ここにいう「ちから」とは「税」の当時の言い方であり、そこから、税の意味について、「民のちからによって生産されたもの」とする解釈や、「権力者がちからづくで取り立てた年貢」のことを指すなどの解釈が出てくることになるのであろう。

 したがって、「税」のそもそもの意味内容からは参加費というような概念には結び付かないのである。

 これに対して、英語で税のことを「tax」というが、taxの語源については、「ticket」と同じで入場券のようなものと説明されることがある。そこには、「税」とはややニュアンスを異にし、参加費用というような意味内容を見出すことが可能である。

 ところで、「脱」は「税」と同様に、「身体から(衣服を)剥ぎとる」という意味がある。

 国から召しあげられないように、あらかじめ剥ぎ取って隠し、その残りのものを国に納付することを「脱税」という。

 「税」と「脱」は同じ語源なのだ。

(出所:酒井克彦・税のしるべ2989号4頁)